真夏の奇跡
この気持ちに気がついたのは、私たちが小学校2年生の夏休み。

私が綺麗な花を見つけて立ち止まった間に、一緒にお祭りに来ていた快晴と何人かの友達とはぐれてしまった。

すごく怖かったし、寂しかったのを今でも覚えてる。

みんなが進んで行った方に向かったけど、どこにもいなくて、探し回ったせいで道には迷うし、焦っていたせいで転んでしまって膝から血が出てしまっていた。

とりあえず人混みから抜け出すために、神社の裏側に回った。
こんな所にいたら誰も見つけてくれないだろうし、帰れなくなってしまう。そう思ったけど足は動かなくて…

「お母さん、お父さん…うっ、うわあああああん…」

「あ、藍ちゃん…ここにいたんだ」

「快ちゃん?」

「うん!良かった〜見つかって」

「こ、怖かったよおお」

「よく頑張ったね」

そう言って快ちゃんは私を抱きしめてくれた。
今思えば、大泣きして顔はぐちゃぐちゃで、膝からは血が出てるし、服も汚れて、かなり恥ずかしい格好だったと思う。
それでも快ちゃんは、私が泣き止むまで抱きしめてくれて、優しく声をかけてくれた。

その時は気が付かなかったけど、次の日快ちゃんにあった時、胸がなんだか苦しくて、
ほかの女の子と話すのを見たら、すごく嫌な気持ちになった。それで気がついた。

『私、快ちゃんのことが好きなんだ』

家が隣同士で、生まれた時からずっとそばにいるけど、こんな気持ちを快ちゃん相手に抱いたことなんてなかったし、抱くなんて思いもしなかった。

だから初めはすごく戸惑って、どうやって接するのがいいのかもよくわかんなかった。

でも、気持ちを伝えたら、今まで積上げてきたこの大切な関係が崩れてしまうということだけはわかった。だから、私はこの気持ちを心の奥底にしまうことにした。
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