弟にしないで。
桃奈side
な、なんだったんだ!!
悪戯が成功した子供みたいにれいちゃんが走って逃げていく。
あ、そういえば、と振り返れば、
案の定みんな見てて、
さらに顔が赤くなる。
みんなの元にいそいそと戻ると、
「ちょっとーひとりで青春しないでくださーい。」
と綾に笑いながら言われる。
晴翔と恭介、海斗はなんだか、ホッとした顔をみせていて、
1番こわい顔をしてるのは…
「あの、洸ごめんね、ちゃんと売るから!」
洸に向かって謝ると、
黙って視線を逸らされる。
え。
洸にそんなことされたことなくてどうしたらいいかわからない。
「…ごめん。ちゃんと仕事する。」
そう伝えて、また客引きに出る。
あと10箱くらいだったからすぐに売り切れたけど、
帰りにみんなでご飯を食べてる時も
洸とは目が合わない。
…どうしよう。
周りが気を遣ってくれたのか、
帰りは二人で歩いて帰る。
沈黙。
「あの、洸…」
「桃奈は、誰でもいいの?」
え。
なにが?と言いたいけど言えない。
…れいちゃんとのことだろうか。
「この前、朝方他の男と歩いてるの見た。そしたら今日は綾の弟じゃん。…俺はそういう風に見ないくせに…」
朝方…爽くんの事だろうか。