生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「い、痛いです…劉磨さん。引っ張らないでください。」
「あ、悪い…。」

「助けてくれてありがとうございました。でも、なぜあそこに…?」

「別に…たまたま庭の方見たら悠夜とお前がいるのが見えたから。それに奏たちが探してる。」
「え…?」

「もうすぐ…昼飯の時間…。」

劉磨さんの言葉と同時にお腹が鳴る。そんなに時間がたっていたのか…。

「昼飯食って少ししたらもう学校だから、準備してこい。」
「は、はい。準備してきます。」


走って部屋に戻り、悠夜さんから渡された制服を急いで着る。そのあと、昼食の時間に遅れたのは言うまでもない……。

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「皆、準備はできたか?」

「あの……学校ってリムジンで行くものなのですか?」
「リムジン乗ったことないの?」

「いえ、乗ったことはありますけど……学校というもの自体が初めてなので何も分からなくて……。」

「もしかして…学校知らない…?」

黙ってうなずくと桃瀬さんたちは驚いた顔をしていた。学校に行くことって普通のことなのかな…?


「うーん…なんて説明したらいいのかな…。勉強したり、友達を作ったりする場所…?」
「友達……?」

「そうだよ。楽しいことがいっぱいある場所。」

「嫌なこともあるけどな…。」

「もう、初めての子にそういうこと言ったらダメでしょ。」
「だって本当のこと…。」

「ほら、2人とも花月チャンを困らせないの。花月チャン…まずは行ってみましょう。学校でもアタシたちが一緒にいるわ。だから安心して。」

「はい……。」



「いつまでも話してると遅刻すんぞ。」

「あの劉磨が遅刻を気にするなんて…。」
「お前は俺をバカにしてんのか?」

「だって本当のことでしょ。サボり魔のくせに花月の前だからってカッコつけないでよね。」
「てめえ……。」


リムジンに乗り込むとすぐに屋敷は遠くなっていった。これから私学校に通うんだ…学校ってどんなところなんだろう……。
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