生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「トレーニング2日目、今日も気合入れていこう!」

「お前、何時だと思っていやがる。」
「朝の5時。」


「一般的な吸血鬼は寝てんだよ。こんな早くに起こすんじゃねえよ。」

「劉磨クン、落ち着いて。」


「俺はお前らみたいに朝強くねえんだよ。午後からでいいだろうが。」


「あれ…そういえば学校は…?」


「体育祭までは学校自体は開放されているけど、授業は自由参加。体育祭を楽しめるように生徒会が去年から動いてくれてるんだよ。」

「だから俺らは、好きなだけ体育祭まで練習できる。」


「そういえば体育祭の具体的なことって…何も聞いていない気がするけれど……何をするの…?」


「基本的には選抜型・全員参加型の2種類に分けられていて、選抜型の競技は選抜リレーとか、騎馬戦とか、障害物競走とかかな。過去の体力テストの記録や部活動での推薦とかで決められることが多くて運動が得意な人が出るんだよ。僕たちの中だと劉磨と聖はどの競技にも推薦されることが多いかな。特に聖は空手部の主将だったこともあって引っ張りだこなんだよ。」


「聖さん……空手やっていたの…?」

「中学までだけどな。俺、他に得意なことないから強くなれたらって……。」


「で、反対に全員参加型は名前の通りクラス全員が必ず参加する競技。全員リレーとか玉入れとかかな。花月は運動が苦手みたいだから、全員参加型の競技だけ出れば大丈夫。」


「じゃあ、皆の足を引っ張らないように頑張らないと……だね。」


「今日は筋肉トレーニングとタイム計測を行いますが、その後は競技の説明をします。ものを知らないと当日何もできませんので。」


「だったら尚更午後でもよかったじゃねえか。」

「劉磨クンたらお馬鹿さんね。午後は1番暑くなる時間帯よ。アタシたち倒れちゃうわよ。」



今日も1日、トレーニングを楽しめるといいな……



「今日は僕もタイム取るから、悠夜お願いね。」

「私たちはまた記録係ですか……。」
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