生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「はーい、回答はそこまででーす。では一斉に見せてください!」



聖さんが書いたボードを見ると①紅茶、②ガトーショコラ、③アロマキャンドル、と書かれていた。



「…全部回答が一緒だな。」


聖さんが本当にこの3つを選ぶなんて思わなかった。でも……この3つには聖さんとの思い出があって……つい……書いてしまった。


「その……思い出……だから。」

「第1審査の得点オープン!1番のペアの方が7点、2番の方が6点,3番の方が2点、4番の方が9点、5番の方が7点、6番の方が7点、7番の方が8点。なかなかの競り合いです!」


「1位……なの?私たち。」
「…みたいだな。」



「続いて第2審査に移りまーす。第2審査は『お願い!その手で抱きしめて!愛しの彼を見つけ出せ』です!」




「愛しの彼……?」
「…花月、俺を見ないでくれ……。」
「ご、ごめん……。」



「それではルール説明です!これから男性陣にはこちらの箱に入ってもらいます。ただし、その様子は女性陣には見えません。入った男性には箱の中から手を出してもらい、女性にはペアの男性の手を触らずに当ててもらいます。」



それって完全に運…だよね…?カップルってそんなことを確かめられるのか……。


「…花月、無理はするなよ。」
「え……?」


「…お前は真面目で几帳面だから何が何でも当てようとするかなって……。こんなの運がいいかどうかだから何も考えなくていい。」


「几帳面とかそういうの……分からないけれど、当てたいの。いつも一緒にいてくれる大切な人だから……。だから、ちゃんと選びたい。」

「…そうか……。俺も…当ててくれたら嬉しい。」
「うん……。」



聖さんたちが箱に入る間、私たち女性陣は客席の方を向かせられた。はっきりとは見えないけれど、たくさんの人が見ていて、その中で聖さんと今このステージに立っている。



これはカップルのための特別なイベント。でも私と聖さんは付き合っているわけじゃなくて……でも……嫌いなわけじゃなくて…私は聖さんのことをどう思っているんだろう。



「それでは準備ができましたー!第2審査開始です!」
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