生贄の花嫁      〜Lost girl〜
体が……熱い。溶けそうで……体がいうことを聞かなくっているのに内側から恐ろしいほど熱が溢れている。

「…花月…だいぶ息があがってきたな…。辛いか…?」

「体が熱いの……力がまた溢れてきて……。」

「…牙はまだか……?」



牙……まだ生えてない。でも……だんだん頭の中に浮かんでくる血に対する欲望。


「苦しいか…?」
「大丈夫……。だってこの痛みは……苦しみは……皆の仲間になれるための…試練。そう思えば……全然…大丈夫。」


そう……いつまでも恐怖に怯えるわけにはいかない。


「…無理するなよ。」

「この目のタオル……外して…もらえますか…?」

「…でも能力が暴走したら……。」
「聖さんの顔が見たいの……。暴走しないように頑張って…抑える。」



聖さんにお願いをしてタオルを取ってもらう。目を覆っていたものが無くなると目に映る聖さんの顔。


「わがまま言って……ごめんなさい。でも……聖さんの顔見られて少し…安心した。」


「…瞳の色が黄色くなってる。」
「きっと……泰揮クンのDNAの影響だと思う。」



ドクン

「う……。」

さっきまでとは比べ物にならないくらいの痛みが胸を襲う。心臓が張り裂けそうで砕けてしまいそう。聖さんの方を向くと聖さんの体の中が透けて見えた気がした。血液が流れる音が聞こえて見える。


「血が……ほしい。」





聖さんの首に噛みついたと同時に目の前が真っ暗になった。
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