生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あの後、教室での騒ぎが職員室まで響き渡り、騒いでいた生徒たちはそれぞれの教室に帰され、結愛ちゃん、あずさちゃんは反省文、私は状況説明のために職員室に呼ばれた。

理事長の娘だからと特別扱いをされるのが嫌で楓ちゃんは反省文を志願していた。

「あーもう、反省文とか無理―。」

「結愛があんなに騒いだからでしょ。」
「そういうあずさだって喧嘩吹っ掛けてたじゃん。」
「だってうるさかったし。」

「私たちってやっぱ似てるんだねー。」


「……結愛、あずさ……さっきは庇ってくれてありがとう……。」

「別に庇ったわけじゃないよ。ただ、ムカついたから言ってやっただけ。あいつらのせいで私たちみたいな中流階級以下がみーんな野蛮だって思われるの嫌だもん。」

「まあ、結局思われてるだろうけどね。」
「それに言ったことに嘘はないよ。罰せられるのは私たちも同じ。」

「まあ、それ以外にも楓様と私たちが友達になることを望んでいる人もいるみたいだから、あいつら側にいるより、楓様との未来を取る方がいいかなって思っただけ。」


「ということは…さっきの騒動は私のせい……?」
「花月、真に受けすぎ。それに花月のせいじゃなくて、花月のおかげ、なんだから感謝してるよ。」




「あー!姫が反省文書いてる!」
「か、奏…!どうしてここに…?」

「どうしても何も目の前で問題が起きて花月が連れていかれたんだから心配するよ。」

「…俺と劉磨もいる…。」



「お前らも馬鹿だよな、あんな喧嘩吹っ掛けて敵増やしちまうなんて。」
「あら、お友達が少ない赤羽くんに言われても説得力ないけど…?」
「んだと、こら。」

「それに、私たちには花月がいるし、国王継承者の5人もいるんだから無敵だよ!」
「まあ、そんなところね。」

「お前らめちゃくちゃ腹黒じゃねえかよ。」
「そうだよ、私たちは根性と底力で生きるんだから。」




「……花月、反省文書けた。」
「本当だ、良く書けているね。でも、これだと反省文っていうより、作文…かな?」
「……何があったのかを書くだけじゃダメなの…?」

「そのおこったことの中で反省していることを書くんだよ。」

「……花月も書いたことあるの…?」


「反省文ではないけど、似たようなものは書いたことあるかな。」

「お前ら―!少しは静かに反省文を書けんのかー!」

「……書きました。」
「これはこれは楓様、貴女のような立場の方が書くものではないですよ。」

「……その…そういう特別扱いは…もう、しないでください。理事長の娘だからって、気を遣われるというのは嫌ですし、私もただの1人の中等部に通う女子生徒でいたいです。」

「……。」

「……反省文は書き終えましたので、教室に戻ります。失礼しました。」
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