生贄の花嫁      〜Lost girl〜
(いいえ、思いませんよ。)

(は?あんた偽善ぶってるわけ!?私を取り込めば聖とも上手くいくし家族とも親交を深められるとか思ってるんでしょ!?)


(……海未さんの言うことは一理あるのかもしれません…。でも私はそんな卑怯な手を使って聖さんや海未さんと仲良くしたいなんて思いません。今の聖さんのことは私の方が知っていることが多いかもしれません。ですが、私が出会う前のことは海未さんの方がよく知っていると思いますし、その思い出までをも奪おうだなんて思いません。)

(あんた、なんか掴めなくてムカつく。話し方も謙遜なのか距離が遠いし人間らしくない。人間なんてもっと悍ましくて汚い汚れた生き物のはず。)

(海未さんは…そういう人間を望みますか…?)

(別に望むわけじゃないわよ。ただ…あんたからはなんか気持ち悪さを感じる。元人間なら図々しさとか穢れを感じてもおかしくない。あんたあれでしょ、いい子ぶって親とかも騙して心の中でだけ笑うようなタイプ。そういうやつが1番質が悪いのよ。)

(いい子ぶる……そうかもしれないですね。私には……確かなものがないので、その場しのぎの自分を作っていることはあるかもしれません。)

(ほら、急に自分を認めるふりをしてまた騙そうとする。)

(海未さん……海未さんはよくそういう考えかたをされるんですか…?)
(何、嫌味?)

(いえ…ただ、どこか寂しさを…感じたんです。海未さんの人生は海未さんの人生ですから私が口をはさむようなものではないと思います。でも…どこか苦しげで助けを求めているようにも感じます。虚勢をはって何かを自分に言い聞かせているように感じます。)

(……。)

(海未さん……これ以上、私とは話したくないと思うので下に戻りますね。1度このテレパシーは切れますが、何かを念じてくださればまた話をすることはできると思います。何か私でも……私なんかでも役に立てることがあったら教えてください。)
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