生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―劉磨side—

あのあと、輝石たちは花月を連れてどこかへ行ってしまった。あいつら、花月に何しやがった。初めてだ…あんなに虚ろな目をした花月を見たのは…


「劉磨クン…。」
「いい…今は無理だ。今の花月の頭の中には俺らの存在なんてほとんどない。」

あいつらマジで何なんだよ。それに花月も花月だ。なんであんな簡単にあいつらの罠にかかっちまうんだよ。

「あ~くそ。」

「このまま花月が戻ってこないなんてことないよね…?」
「今の状態では何とも言えません。手遅れになる前に取り返さなければ。」


「そういや気になってたこと…あるんだけど…。」

「どうしました?聖。」

「この学校、俺たちみたいな吸血鬼いっぱいいる。でも…あの3人からは人間の匂いがする。」
「聖も?実は僕も気になってた。うっすらとだけど花月に近い匂いがした。」


「つまり彼らは人間だと…?ですが吸血鬼の匂いもしています。彼らの正体は何なのだか…。」


「下層…吸血鬼。」

「え…。」


「てこともあるかしら。でもアタシが知っている下層吸血鬼はもっと血に飢えていて自制心なんてない奴らだったわ。彼らには自制心がありそうだしアタシの勘違いならいいんだけど。」


「探すぞ…あいつらの情報を。下層吸血鬼のこと全部調べて明かしてやる。」

「そうだね、ここの学校なら僕たちの屋敷の書庫の何倍もの資料がある。この間の白蛇族のこともわかるかもしれない。」




そうだ…忘れていた…白蛇族のことを。まさかあいつらが白蛇族だなんてこと…ないよな…?
< 51 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop