生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―輝石side—

「黒鬼院様、ご命令通り白梨花月を捕獲しました。」

黒鬼院様の前に跪きいつも通り報告をする。この無様な姿も慣れたもんだ。

「そうか…よくやったぞお前たち。」

「あの…黒鬼院様、お聞きしたいことがあります。」
「どうした…琉生。」

「今回は……彼女をいつまで閉じ込めておくんですか?」

「あの娘が気になるか…?」
「誘き出すためだけに利用するのなら…なるべく早く解放してあげたいです。」


「お前たちが気にする必要はない。宴は早々と終わりを告げる。あの娘が遂に手に入ったんだからな。」


「…?」

「そんな顔をするな。殺しはしないよ。大事な生贄だからな。」


「ところで、氷結の姫…キズのほうが覚醒いたしました。白梨花月に接触をしていたようです。」

「そうか…そうか…あはははははは!これで、とうとう私の理想の国を…理想郷を創ることができる。“あいつら”もさぞ驚くだろう。あーはっはっは。」



黒鬼院様の高笑いが響く。俺らに与えられた使命はこの黒鬼院様のどんな命令にも忠実に従い願いを叶えること。たとえ命に代えても。それが俺らに新しい命を吹き込んでくれた黒鬼院様との契約。


俺らは決して逆らうことができない。たとえそれが悪の行いだとしても…。
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