生贄の花嫁      〜Lost girl〜

第14話 お茶会と来訪者

「ん……もう朝…?」
 

窓の外からは激しく打ち付ける雨の音が聞こえる。灰色の雲の所々から雷が落ちている。何かの前兆のよう悪天候ぶり。



いや、そんなこと考えている場合じゃなかった。お泊り会の準備をしないと…。



コンコン



「はい!」

「迎えに…来た。」



急いで荷物を準備してドアを開ける。目の前にはいつもとは違う雰囲気の聖さんが立っていた。




「この格好…何か変か…?」

「そんなことないですよ。むしろカッコいいなって思いました。」


「そ、そうか…。それより俺の部屋行くぞ。」




「お邪魔します…。」



前に部屋を訪れたときとは雰囲気がガラッと変わっていて、前の時にはなかったウサギのぬいぐるみやおしゃれなティーセットなどが揃っていて全体的に可愛らしい部屋になっていた。



「模様替えしたんですね。」

「花月に喜んでもらいたくて……嫌だった?」

「そんなことないです。すごく嬉しいです。」
「よかった。あ、荷物は奥に置いとくから座ってろ。」




私が持っていた荷物を軽々と持ち、置きにいく聖さん。


聖さんてすごく紳士的だ。



「今日のために菓子も用意した。」



目の前にガトーショコラが出される。チョコレートの飾りまで美味しそうに見える。


「聖さんって可愛いもの好きですか?」

「好きっていうか…花月に喜んでもらいたくて用意してたら…自然と揃った。湯が沸くまで時間かかるから…食うか?」

「うん。いただきます。」



口に入れた瞬間にフワッと口の中いっぱいに広がるチョコレートの香り。



「このケーキ、すごく美味しい!どこで買ったの?」

「実はこれ…俺が作った。泰揮に教えてもらった。」




聖さんの手作り。こんなにおいしく作れるだなんて凄い。


「美味しいって言ってもらえてよかった。もっと食うか…?」

「こんなに美味しかったらたくさん食べちゃいます!」
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