【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

誰もばーちゃんには敵わない。

とーちゃんはその言葉通りばーちゃんからずっと説教を受ける羽目になる。

ばーちゃんから逃れられたおじちゃんは少しだけ安心したようで、大地も都内から駆けつけて
今日は和やかな夕食になった。誰もが笑っていたと思う。…とーちゃんを覗いては…。


久しぶりにお酒を飲んだとーちゃんとおじちゃんの和やかな笑い声が響いた。まぁばーちゃんが1番強いのだが…。

その宴会を抜け出して、俺と菫は互いの部屋に入り互いの窓から顔を出して話す。なんつーかこの方が実家では俺たちらしいのだ。昔からいつでもこの窓越しで色々な話をした訳だから。

「お父さんったら今日渋谷であのビジョン見てきたんですって。私達より先に…
聞いて呆れるわ…」

「おじちゃんは菫の事が大好きで仕方がないんだろ…。俺カタログを後10冊持って来いって言われたけど」

「嫌なのよ…。お父さん自分の書斎に私のモデル姿を拡大コピーして飾っているらしいのよ」

「まさに親馬鹿だな」

うんざりだわ、と言っていたけれど、菫の瞳は嬉しそうに煌めく。

「それに文江さんが帰ってきて驚いたわ…」

「うん…。まさか帰って来てるとはね。相変わらずすげー怖かったし」

「そう?私やっぱり文江さんはすごく好きだわ。
着ていたお召し物もとても素敵だったし」

「そうか?!」

菫の感覚はいまいち分からない。

「今度文江さんのファッションショーに出ないかって言われたの。」

「それは駄目だ。菫がこれ以上有名になったら困る。
これ以上全世界に菫の綺麗さを知られたくない…」

「何よ、それ。変なの」


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