【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「俺は違うよ。お父さんに言われたから大学に行った訳でも篠崎リゾートを継ぎたい訳ではない。
自分がそう望んだからその道を選んでるだけだよ!それにお父さんが言う通り決められた相手とは絶対に結婚しないし」

「そんなの知らないわよ。大人になると色々と事情があるの」

「何だよ、大人ぶって気色わりーなー。
大体オオクラさんだっけ?ねーちゃんの見合い相手。めっちゃぶっさいくでデブだったらどうするの?」

それは大問題だわ。

私は大輝さんのように背が高くて容姿が整っている男性が好きなんだもの。

彼との縁談を申し込んだのも、彼が限りなく私の好みのタイプの容姿を持っていたからだもの。

「平気よ。お父さんは私のタイプを分かってる…はず…」

まさか西城さんに大きく見劣りする男性を選ぶ訳はないと信じたいものだ。

たとえそれが愛のない結婚であったとしても、一生見ていくのならば美しいに越したことはない。

「だからそういう問題じゃないんだっつの!大体ねーちゃんは昔から潤くんが好きなんじゃないのかよ!」

このクソガキ…。何を分かった事を言っていると言うのだ。

大体私は潤の事なんて好きじゃない!絶対に絶対に好きじゃない!

じろりと大地を睨みつけると、ムッとした表情をして唇を尖らせた。怒られると直ぐに拗ねる所は子供の頃と何ら変わりない。

険悪なムードが部屋を立ち込める。それを打ち破ったのは、窓にこつんと小石が投げられたからだ。


それに先に反応したのは大地で、人の部屋の窓を勝手に開ける。いつの間に隣の家の窓に明かりがともっていたのだろうか。

窓を開けた先の人物を確認すると、嬉しそうな声を上げた。


< 35 / 321 >

この作品をシェア

pagetop