私に恋する可能性



…そのあと


初めてあんな間部ひなたを見た


俺には見せまいと全力で顔を隠していたけど


震える小さな肩と溢れる涙は隠せていなかった



…こいつはやっぱり俺に弱いところを見せたがらない


いつもバカみたいに全力で素直な割に


こういう時は絶対に頼らない


それが腹立つ


前も思ったけど


…そんなんで俺は離れたりしない


だからさ…



恐怖に震える間部ひなたを抱き寄せてしまった


泣き顔を隠せるように盾になるつもりだったけど


本当にそれだけが目的だったかは…その時の俺にしかわからない




間部ひなたの背中に回した手


そこから伝わるかすかな熱


それから…ちょっと早い鼓動


これは、こいつの音なのか


それとも…




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