新 不倫
「ゴホッゴホッ!・・。」
「・・吸いません。」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
どうしたんだ・・・?
無言のまま咳き込んで、煙草を吹かす豊川さんの表情が更に険しさを増していく・・。
「見方を少し変えてみましょうか。」
「え・・・?」
「被害者は何を望んでいると思いますか?」
「・・・・・何を・・。
平山さん逮捕の直前に現れて、『夫は犯人じゃない』と僕達に告げてきた点からも、
旦那さんが逮捕されるのを阻止したい・・ですか?」
「あ、説明不足ですみません。
それ以前のお話です。」
「・・・・?」
「星野君、すみませんが二手に分かれましょう。
君は産科医の速水先生の所へ行って、
もう一度お話を聞いてきてください。
私は精神科医の真島先生の所へ行ってきます。」
“私達が戦わなければいけないのは被疑者ではありません。
被疑者と戦うのは、
関本主任や仲間の皆の役目で、
私達が戦う相手は【被害者】です”
豊川さんが以前僕に向けて言った台詞。
被害者をある意味“敵視”して、彼・彼女らの証言なんて全く信用しないで・・。
死者に対する慈悲が無い・・・。
一見すればそんなお方・・
でも・・ホントはそうじゃない。
豊川さんほど・・被害者に寄り添って、
被害者の心情や気持ちを汲み取って、
彼・彼女らの魂を救おうとするお方はいない・・。
豊川さんが唱えた、
突拍子も無い仮説を更に裏付ける為、
僕は産科医の速水先生の元へと向かった。