新 不倫
最終章



最終章







「・・星野・・マジ?」


「マジです。今、似顔絵担当の江口巡査に協力を要請して、

豊川さんが通訳になって被害者からの証言を基に、犯人の似顔絵を作成しています。」


「おいおい・・。
なんだよこの展開は・・。」


関本主任が漏らした言葉に、
僕も激しく同意する。


ようやく・・ようやく被害者から得られた犯人の情報。


それはやっぱり旦那のコウスケさんでもなく、

かと言って不倫相手の岸本さんでもなく、

そうかと思えば今までの事件関係者でもなく・・

まさかの“名無しの権兵衛”だった・・。


「つまり、旦那と岸本ナオの為に、

“死にたい”、“消えて無くなりたい”と思っていた奥さんの前に、

都合良く、見知らぬ殺人者が現れたって事か?」


「はい・・。この期に及んで全くのデタラメを言うとは考えられません。

クミコさんの証言には信憑性があると判断しました。」


「それが・・“無抵抗”と“黙秘”の理由でもあったのか?」


「です・・。結果的に自分の願いを叶えてくれた、どこぞの誰かさんに対して、

恩義を感じたそうです。

抵抗することなく、
その男の殺意を受け入れて、

願いを叶えてくれた恩人が警察に逮捕されて欲しくないと・・。」

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