新 不倫


―――――― 


「ありがとうございました。」
「・・・・・・・・。」


一ヶ月後。

一通りの検査結果を先生から教えてもらって、診察室をあとにする。


「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」



[まずは第一段階として、今日から“排卵誘発法”を実践していきましょう。]


病室を出てから。
お会計と、“排卵誘発剤”を待つ間。

隣で腰掛けるクミコは・・
ずっと・・俯いていた。



「・・・コウちゃん・・。」


「うん?」


「ごめん・・・・。」


「謝る必要は無いよ。

こういうのは“男のせい”とか、
“女のせい”とか、

そういう問題じゃないから。」


「でも・・コウちゃんには何の問題も無くて・・・。」


「クミコ。まだ始まったばかりだよ?

とにかく、目の前のやるべき事を一つずつ頑張っていこう。」


「・・・・・・・・。」



自分の体の事を言われて、メンタルにダメージを負わない人間なんていない。

もう一度“大丈夫”と言った後、
その落ち込む背中をさする。


・・・検査の結果、
クミコに“排卵障害”が見つかった。


だけど悲観する事はない。

治療を受ければ改善されるし、何より原因をちゃんと理解した上で取り組む。


その為に俺達はここで頑張ると決めたんだから。























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