エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
「誰も私を知らない場所で頑張りたかったから、かな」
「誰も、知らない場所? やっぱり朝比奈ちゃんってワケありなの?」
うぅ……痛いところついてくるね。水元さん。
確かにワケありかもしれない。だって、彼氏に黙って消えたんだし……。
だけど彼氏じゃないかな……よくわからない関係だった。
今頃、麗央さんは確か……安座間財閥のご令嬢さんと結婚しているんだよね。
幸せに笑っているのかな。一年経ったんだし、子どももいそうだ。
あの独占欲だったら子どもも溺愛してるんだろうなぁ。
「ふーん、そうなんだー……噂あったから知りたくてさ。あ!! igarAshiの次期社長が独立だって!? 見て! 朝比奈ちゃん?」
え、次期社長が独立……って麗央さんだよね?
社長になるんじゃなかったの?
「あっ、ごめん……そう、なんだ……すごいね」
「明日の15時に会見するらしいよ〜!!」
「……興味あるの? 」
水元さんはすごく興奮してる。就活とかあるもんね。イマドキの大学生だ。
「俺、大学卒業したら上京したいんだ〜頑張ってigarAshi入れたらなって思ってるから」
「そう……」
知らなかった……だけど、彼が他に会社を立ち上げようとしていたなんて。
「よし、俺は帰るよ……朝比奈ちゃん帰るなら送りますよ」
「いや、大丈夫。水元さん先に帰っていいから……お疲れ様でした」