熄えないで





───吉乃くんに会ったのは、その途中のことだった。




「…偶然、だ」

「ですね」




偶然、…ホント、また偶然だ。

吉乃くんと会う確率は、60%が偶然で成り立っている。



今日中に会って話したいと思っていたけれど、タイミングが悪いことに私はもうすぐ休憩が終わってしまうのだ。

吉乃くんも同じくらいに休憩に入っていたはずなので、きっと彼も14時くらいまでが自由に使える時間なのだと思う。




「吉乃くんのこと探してた。…けど、今 時間がなくて、」



話したいことがたくさんある。
さっきからずっと、きみに会いたいと思っていた。


けれどしかたない。彼と会ったのは偶然で、タイミングまではコントロールできるものではないから。




「あの、吉乃くんが暇なときでいいんだ。私の話、聞いてほしくて」

「…ああ、はい」

「その、いつなら」

「……後夜祭、」




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