熄えないで

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数分後、やっと駅に着いた。

はぁはぁと乱れる呼吸を整えながら本屋さんへ向かう。




平日の夕方なので、帰宅する学生の姿が多くみられた。何気なくあたりを見渡しなて吉乃くんの姿を探すも、彼の姿は見当たらなかった。


本屋についたあと、ざっと店内を回ってみるも吉乃くんはいない。

学校を出るときに送ったメッセージには未読のままだ。




急遽会うことの方が難しいのかもしれない。

偶然が重なりすぎるから、本屋に来たら会えるかもって必要以上に期待していた。



大人しく今日は帰った方が良いのかな。


蒼志くんとあやかちゃんに背中を押されるままに、勢いで会いたかった。

吉乃くんを前にして、緊張して言葉に詰まらないように、今この感情を全部伝えたかった、というのが本音だけど、仕方ないか…。




そんなことを思いながら ぐるぐると店内を回っていると、ふと、見覚えのあるタイトルの書籍が目に入った。


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