熄えないで




2人は徒歩で通える高校に通っているので、私にとって遅刻に値する時間帯は、2人にとっての通常通りの朝なのだ。


駅まではルートが同じなので、この2人に捕まると電車をもう1本逃しかねない。

それはさすがにまずい。




「おはよう2人とも。私いますごい急いでるから、」

「えー。てかニチ、昨日さ」

「あ、そうそう。その話しようと思ってたんだよな」

「や、だから私今急いでて、」

「今度また新しいかき氷専門店できるらしーの!やばくね?」

「絶対一緒いこうな にっちゃん!」




ああ、なんでこうなるんだ、本当に。


…はあ、もういいか。

今日遅刻決定。下手に急いで間に合わないくらいなら、この双子と駅まで行った方が清々しいかもしれないし。


そう思ったらなんだか気が抜けてしまって、「そだね…」と力なく言うと、2人は無邪気な笑みを浮かべていた。


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