泡沫夢幻


「ひより、そろそろ時間だけど」

午前9時、そろそろの退院の時間だ。


昨日は無理言って泊めてもらった。
事情を知る看護師さんたちが快く認めてくれたおかげだ。

「ちょっと待って!」

これが看護師さんで、これが先生で、、
と紙束を整理するひより。

目を覚ましてから数週間に出会った人に手紙を書いたそうだ。


「ひよりは本当に律儀な子でねぇ」
いつだったかひよりの祖父母が目を細めて教えてくれた。




「お世話になりました!」

「無茶はしないようにね、水瀬さん」

いつの間にか仲良くなったと思われる看護師さんや同じ病棟の人が見送りに来ていた。

「先生、本当に有難うございました」
ひよりの祖父母が頭を下げる。


ひよりは本当にたくさんの人から愛されているな。
とほほえましく見ていると

「ひより、駿くん、そろそろ行くよ」
とひよりのおばあちゃんに声を掛けられる。

「はーい」
と返事をして俺のもとに駆け寄るひより。

今度こそ守るからな
そう誓い病院を後にした。


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