不眠姫と腹黒王子




「結、あ、あの!!」

「ん?」

私にとっての宮は睡眠薬でも友達でもないなら何か、考えて導きだした答え。

「わ、私…
宮のこと好きかも。」

「へ。」


言った…!!

勇気を出して絞り出した言葉に、
結はポカーンとした顔を浮かべるだけだ。


「ゆ、結?」

「す、好きって…ど、どーゆう…」

「恋愛の…好き。」

「っっっっ!!!!!やったぁあぁああ!!」

「!!?」


いきなり大声を出した結を通りすがりの看護師さんが鋭くにらむ。

結は謝るのもおざなりに、
私を痛いくらいに抱きしめた。


「結!?」

「嬉しい…!嬉しいよ。」

「アハハ…
結、私と宮のことくっつけたがってたもんね。」

「それだけじゃないよ。
苦しそうだった円を見てたからこそ、
恋とかに前向きになってくれて嬉しいの。」

「結…」


私も結を抱きしめ返す。

こんなに私のことを心配してくれる友達に出会えて、私最高に幸せだ…。


「ありがとう、結。」

「へへっ…」

「でも意外。
腹黒い宮を知って、結はもう宮をおすすめして
こないと思ったのに。」

「え~。円には宮くんくらい癖のある人の方が
楽しいと思うな!むしろ前よりおすすめ!」

「ふふっ、さすが結。よくわかってる。」

「んも~!可愛い!
今すぐ宮くんここに連れてきたいのに~!」

「ハハ…」


私は結を抱きしめていた腕をほどいた。

苦笑いをする私の顔を見て、結は首をかしげた。


< 132 / 231 >

この作品をシェア

pagetop