不眠姫と腹黒王子

円side:近く深く




よかった…。
伝わった。

嬉しい。
今までで一番。


私は自然と笑顔を浮かべていた。
心の底からの笑顔。

宮は私の顔を見ると、


「好きだ」


そう小さく小さく呟いて、
私の唇にキスを落とした。



「えっ…?な…
す、好き…?私を??」


嘘。

嘘…!

宮が私を好き…?


信じられずに呆然とする私の頬を宮がそっと撫でる。

大事そうに、優しく触れる。



もう一度、
一言だけ呟いた。



「好きだ。」






前言撤回。
人生で一番嬉しいの、更新した。



再び近づく唇に、今度は私から距離を詰める。

もう逃げたりしない。

私は宮のキスを受け入れた。

涙のしょっぱさが蜜のように甘くなっていく。


今までのどんな距離よりも
近い
深い
距離。




遠くで昼休みが終わるチャイムが鳴っている。


お互い気づいているけど、
甘いキスをやめることはなかった。



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