不眠姫と腹黒王子



普段同様、
登校時間の一時間前に学校の門をくぐった。


勉強しようと意気込んだのはいいものの、
正直試験範囲の勉強なんてとっくに終わってしまった。

何しよう、暇だな…。


そんなことを考えながら教室の扉を開けると、
「よ。」
と予想外に声をかけられ、一瞬固まった。


「え…み、や?」

「相変わらずはえぇな。暇人。」


そこにはちょっと機嫌の良い宮がいた。

宮の机の上には教科書が広がっており、
勉強している様子だった。


「今日早いね。勉強?」

「そ。来週テストだしな。
あとは、お前の朝の寝不足不細工顔でも拝もうと思って。」


宮はハハッといたずらっぽく笑った。


「な…何それ…。」


嬉しい。

嬉しい!


一人ぼっちだと思っていた朝に宮がいてくれたことが、
とにかくものすごく嬉しかった。


「お前も勉強すんだろ?
一緒にやろーぜ。」

「……
なんか今日ご機嫌だね。きもいよ。」

「っはぁ!?
早起きしたからいい気分だったんだよ!
今の一言で結構沈んだけどな。」

「あら、ごめんなさい。」


そう言うと、宮は気にしてない様子で
また教科書に視線を落とした。


< 56 / 231 >

この作品をシェア

pagetop