寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

お酒を飲んだようにポーッと赤くなっている雪乃は、晴久の甘い言葉に夢見心地となっていく。
その気分はやがて、徐々に眠気へと変わっていった。

晴久もそれは分かっていたが、このまま彼女に甘く囁き続けて溶けるように眠ってしまったとしても、それでよかった。

「高杉さん……」

「分かった? 明日も一緒に帰って、うちにおいで」

「はい……」

言質を取ったところで、さらに彼女の耳に唇を寄せ、低い声で囁く。

「それと、勘違いしないでほしい。確かに社内で手紙を受け取ったのは事実だけど、俺が興味があるのは、キミだけだから」

その言葉が聞こえたかどうかのギリギリのタイミングで、雪乃は熱を持った色っぽい顔のまま眠りに落ちていく。

(……かわいい)

晴久は雪乃に欲情した気持ちを気合いで飲み込み、自分を奮い立たせて我慢した。

おそらく次は耐えられずに奪ってしまうだろう。そんな予感に浸りながら、しばらく彼女の寝顔を見つめていた。

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