白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
それから、なんといっても一番はやっぱり校歌。

少しずつ日が陰りはじめたグラウンドに流れた青雲高校の校歌は、勝利の余韻で格別の音色がした。


いつもはだらだら歌う校歌でも、このときばかりは違った。

まるで賛美歌にでも様変わりしたように、部員たちも生徒たちも大きな声で歌っていた。

わたしもその中の一人で、球場全体に響き渡る校歌を、少し涙ぐみながら歌った。





初戦を快勝で終えた青雲高校は、学校に戻ったあと、ミーティングと軽めの練習をした。

わたしだけ浮かれるわけにはいかないものの、それでもやっぱり顔がにやけてしまうのが実際のところで。

稜ちゃんのあのソロホームランやタッチしたときの手の感覚、校歌の余韻なんかが、頭からずっと抜けないでいた。


だって11点で5回コールドだよ?

9人ともヒットを打ったし、大森君の肩の調子もよさそうだし、チームのまとまりも最高だし。

・・・・浮かれないわけないよね?


それに、何より稜ちゃんが生き生きと試合をしていたことが、どうしようもなくわたしの顔をにやつかせた。
 

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