白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
ちゅっ・・・・。


全部言い終わる前に、稜ちゃんに唇をふさがれちゃった。

目を閉じることもできなくて、今度はわたしが目を丸くした。


だけど、今のキスは目を閉じなくて正解だったかも・・・・。

間近で見た稜ちゃんの顔、閉じた目の隙間からキラキラ光る涙が流れていたんだもの。

これって、わたしの気持ちが伝わったってことだよね? 嬉しい。


「百合、大好き・・・・」


唇を離した稜ちゃんが、潤んだ瞳でわたしを見つめる。

大好きなあの笑顔で。


「わたしも大好きだよ。当たり前じゃん」

「そうだよな」

「うん!」


それからわたしたちは、また、たくさんキスをした。

稜ちゃんから伝わってきたのは、今までの“ごめんね”じゃなくで“好きだよ”の気持ち。

それが嬉しくて、わたしの目にも自然と涙が浮かんだ。


稜ちゃんは、野球をしていないときっと死んじゃう。

野球に関わっていないと、たぶん稜ちゃんは“稜ちゃん”でいられない。

それくらい、稜ちゃんと野球は切り離せない関係なんだ。
 

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