白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんのさり気なさが、わたしの胸をぎゅぅーっと締めつける。

稜ちゃん、今日もめちゃくちゃかっこいい・・・・。

熱っぽいせいだけじゃない熱が、わたしのほっぺを熱くする。

ただ目で追っているだけなのに、ただグラウンドを走っているだけなのに、ただのいつもの風景なのに・・・・。

最近のわたしの心の声は、めっきり“ただ”と“のに”が増えてしまった。

もしかしたら、稜ちゃんが試合でホームランを打ったら失神しちゃうかも・・・・。

それくらい、稜ちゃんを視界に入れるだけでドキドキするんだ。


そんなわたしが、稜ちゃんに近づいたり仲良く話をしたり・・・・ましてや汗を拭いてあげたりなんていうのは無理な話。

今となっては、まともに目を合わせることさえ恥ずかしくてできなくなってしまった。

だって、稜ちゃんは本当に男らしい体つきになったんだもの。

二の腕の筋肉だってすごいし、腹筋も割れている。背中も広い。

背もいつの間にかわたしより高くなっちゃって。

小さいわたしは、稜ちゃんの胸くらいまでしか身長がない。それにペチャパイ・・・・。
 

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