〈続〉一年後 恋の攻防戦〜クールな彼とちょっとドジな彼女の攻防戦〜
「エステに行ってきたから…んっ、ローズのオイルでぇ…マッサージをしてもらったのぉ」

彼女が辿々しい答えになるのは、俺の手と口が肌をなぞる度、反応して甘えた声で鳴き、肌が粟立って身震いしているからだ。

「俺のために?」

肌の上で囁く。

「…知らなかったの」

舌ったらずな声が、欲情を煽る。

「砂羽さんのお節介に感謝だな…莉子、今日の俺は、お前を寝かせてあげれないかもしれない。付き合ってくれるよな」

「…う…ん。頑張ってみる」

「愛してる…」

「私も、愛してる」

ここ数日、触れることのできなかった体を前にして、手加減なんてできず、最初から激しかった自覚はある。

すぐにギブアップをして、根をあげた莉子の為に、部屋に食事を運んでもらい、食後の運動と称して何度も抱き、セミスイートの部屋を堪能させてあげる暇もなく、チェックアウトをする羽目になった。

そして、2人で俺の部屋に戻ってくると、部屋の散らかりを見られ、気まずさにソファの荷物をどかし、そこに座って莉子を膝の上に乗せた。

「係長になって初めての、大きな仕事がやっと一昨日に片付いたんだ。え…多岐川とは本当になんでもない。あいつの匂いが移っていたのは、あの日、小会議室でずっと、打ち合わせをしていたからだと思う。悲しませてごめんな…」
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