〈続〉一年後 恋の攻防戦〜クールな彼とちょっとドジな彼女の攻防戦〜
「なんでもないよ」

「そうですか?あまり顔色良くないですよ…疲れてるんじゃないんですか?」

私のおでこに手を当ててきて、熱を測ろうとしてるらしい手を、はらった。

「…大丈夫だから、気安く触らないの」

「えー、心配させてください。俺の癒しは莉子さんなんですから…」

「はいはい、ありがとう。黒岩君、その前に先輩を名前呼びするの辞めようね」

「建人って呼んでくださいよ。そうしたら、考えてみます」

あー、頭痛い…

話の通じない男が、まだいた。

「莉子」

聴き慣れた声に振り返ると、トレーを持つ朝陽と、綺麗な女性が一緒に立っていて、通路を挟んで隣のテーブルに2人は座った。

「休憩中に会えるんだったら、待ち合わせすればよかったな」

「そうだね」

「でも、朝陽は今からでしょ⁈係長になって忙しいんだから、無理しないでね」

「あぁ…、わかってる」

話ながら、朝陽の前に座る見慣れない女性が気になっていた。

「あっ、初対面か⁈」

「はじめまして、多岐川 絵美です。今週からこちらの営業に配属されました。朝陽とは同期で、1年ほど一緒に働いていたんですよ」
< 8 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop