飴玉ひとつ、メロウ味
2.甘い放課後
〈1日目〉
遂に、勝負の日がやってきた。
私は気合を入れて、放課後呼び出された空き教室に足を踏み入れる。
「逃げなかったんだ?」
「逃げるわけないでしょ」
どうしても、挑戦的な物言いになってしまうのは、仕方の無いことだろう。
ちなみに、私と拓海が顔を合わせるのは、これが2回目だった。
改めて見てみると、こいつ、顔はいいんだよねーー。
少しウェーブのかかった短めの黒髪に、スッキリした高い鼻、痩せすぎているわけでもなく、程よい肉付きのある体型だ。
一言でいえば、モテそうな人。
「それで、今日は何するの?」
「あ~、そうだな......寝る」
「はっ?」
思ってもいなかった言葉に、開いた口が塞がらない。
ーー寝るって、どういうこと?
肩を揉めとか、宿題やれとか、飲み物買ってこいとか言うんじゃないの?
予想と違いすぎて、どうしたらいいのか分からない。