田舎へ移住とイケメン先生との出会い
自宅待機命令から2日後、病院のホームページで思いもかけない記事を見てしまった楓…

「再来週から土曜日の外来はしばらく休診致します」

楓「えっ⁉︎ マジかよ…薬もらいに明日行かないとじゃん!」





翌日、急遽りょうもうにトンボ返り

よりによって診療受付11時半まで

楓「特急乗らないと間に合わないな…」

しぶしぶ禁止されている特急に止むを得ず乗る

ガラガラ

2週間ぶりのりょうもう

誰もいない

楓「廃墟化した駅舎だよ…笑笑」

静まりかえった故郷りょうもうの街をひたすら歩くこと15分

着いたよ…2ヶ月ぶりの病院

楓「ウソでしょ? 超厳戒態勢」

病院の入り口でフル装備の看護師さんが待機している

片手には検温するための体温計

看「お名前教えてください」

楓「大竹楓です」

看「今日はどうされましたか?」

楓「喘息の薬もらいに来ました」

看「定期ですね! 分かりました…ごめんね、念のため熱測らせてもらうね?」

ピピっ

看「36度です」

事務の人に伝える

看「じゃあ中に入って受付してね?」

楓「分かりました」

土曜日の割には異様なほどガラガラ

待合室の椅子には2メートル間隔開けて座るように張り紙がしてある

楓「すぐ呼ばれるのかな?」

ガラガラッ

新出先生が出てきた

新「コロナ1人でも出したらアウトだから!」

入口で看護師さんとやりとりしているのが聞こえる

新「大竹楓さん、1番へどうぞ」

楓「呼ばれるの早っ」

ガラガラッ

楓「こんにちは」

新「あれ?バイトはー?」

いきなりその話かい笑笑

楓「バイトは辞めて就職しました」

新「もうそんな年なの? まさか接客業じゃないよね?…」

やっぱり先生Sだよ…何でわかるの?

楓「接客業なんですよね…笑笑」

恐る恐る答える

新「じゃあバイトは辞めて就職でいいのね? 何してるの?」

言ったところでわからないよ笑笑 だけど、このパターンは答えろってことだよね…

楓「言っても分かんないですよ?笑笑  うーん…湾岸線って知ってますか?」

新「あー!新しいところね! どんなことしてるの?」

楓「運輸部に所属してるんで、駅員やってます…あっ!でも、今は自宅待機です」

新「将来運転士とかなるの?」

楓「はい!」

新「運転士とか車掌は心配いらないけど、駅員じゃあコロナ危ないじゃん!!」

先生心配なんだよね…すごい分かるよ

楓「そうなんですよね…最弱線も激混みで怖いです」

新「先生、ゲートの近くだけど昨日とかガラガラだったよ?  それにしても駅員か…出発進行とかやるの?」

楓「やります」

新「かっこいいジャーン!!」

照れるからやめてよー笑笑

新「で、発作は?」

雑談で終わりかと思ったら診察するのか…笑笑

楓「出てないでーす笑笑」

新「吸入どーする?2個でいい?」

楓「できればあまり病院来たくないんですよね…コロナのことがあるから…吸入MAXでいくつ出せますか?」

新「何個まで出せるかはわからないな…だけど、先生は4個も5個も出したことないね。3個にしとく?…今、どこに住んでるの?実家?」

楓「武蔵野でひとり暮らししてます」

新「実家はこっちにあるの?」

楓「はい」

新「週末こっちに帰ってきてる感じ?」

楓「まあ…笑笑」

新「コロナのこともあるから、落ち着くまで自宅近くのクリニックで処方してもらったほうがいいな? とりあえず3個出しとくから…」

やっぱこーなるよね…緊急事態宣言が出てる武蔵野だもん…

武蔵野=コロナ扱いされるの辛いな…

新「じゃあまたご縁があったら診るからね!」

えー

辛すぎるよ…こんなの…

3ヶ月もあれば落ち着くよな?

楓「コロナいつ落ち着くか分かんないじゃないですか?」

思っていた本音がついポロって出た…

新「それはコロナに聞いておくれー笑笑」

3ヶ月後何が何でも来るからな!






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