あいつ

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 あいつが「東京に行く」と言った、高校3年生。決める進路。あいつには夢があった。

 ふたりで帰った帰り道の途中。あいつは橋の柵に腕を乗せ、私は誰よりも先に上京を告げられた。私は迷わずあいつの背中を押す。迷いなどない、心からあいつの夢を願った。夕陽がやけに綺麗だったのを覚えている。
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