あいつ

最後のページ

「おい!」

 夕陽に照らされる私の後ろから呼ぶ声。歩行者は私だけ。多分懐かしい声。私は振り返る。

 あいつだった。あいつが走ってくる。そして私を強く抱きしめた。



 何?どうして?



「悪い、変わらないって言ったけど。」

 私は言葉が迷子になる。

「好きだ。それ言いに来た。」

 迷いを晴らそう、この腕で。私も抱きしめればいい。それだけでいい。
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