激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
グリーンを多めにした希望通りの装花だったのに。


「昨日も、嫌な思いしただろ」


壇上の花瓶について、大沼さんにつっかかれたところを見ていたんだ。


「大丈夫です」
「あの颯爽とやってきて助けに入った男の人、かっこよかったじゃん。重森、惚れるなよ?」


それって、太一さんのことだよね。
惚れるどころか、結婚しますなんて告白できない雰囲気だ。


「あはは」


曖昧に笑ってにごせば、西田さんは離れていった。


「びっくりした」


結婚となれば、お見合いの仲介をしてくれた店長に報告は必須だし、店の仲間にもそうしないとまずい。


ここで働き始めてすぐに元カレと別れてから、今まで男性の噂が立ったこともないので、皆驚くだろうな。
というか、私がまだ夢見心地だ。


「今は仕事」


私はふとした瞬間に太一さんのことを考えてしまう自分を戒め、宮城グループに納品に向かった。
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