激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
別れたあとの人生が思うようにいかないのを、私が仕事を辞めなかったせいだと結論づけたがっているように見えた。


「それに彼、自分は束縛したがるくせして自分は縛られたくない人なんですよね。もともと自由でいたい人なんです」


私は無意識にうなずいていた。
その通りだと思ったからだ。


正也さんは、私がなかなか時間を合わせられないことにいらついていたものの、自分の都合は優先する人だった。

私が忙しいのは事実だったので文句も言わなかったが、よくよく考えると〝自分は好きなようにするが、お前は俺に合わせろ〟ということだ。

付き合っていた頃は気づけなかったけれど。


「わかっていたのに、私も重森さんのせいにしてしまいたかった。まさか、旦那さんまで巻き込んだなんて、失礼なことを。ごめんなさい」


再び涙があふれてきた彼女を、責められるわけがない。
由実さんは苦しんだのだ。
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