激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
壊れてない? 
せっかく電話をもらったのに出られないなんて最悪だ。

慌てて拾い上げて「もしもし」と大きな声を出した。


『もしもし、宝生です。すごい音がしたけど……』

「ごめんなさい! スマホを落としてしまいました」

『あはは。重森さんはいつも謝ってるね』


そういえばそうかも。
謝るようなことばかりしでかしてるんだな、私。


『もう、家?』

「いえ、まだ店です。切り花をしていたら没頭してしまって」

『よかった』


なにがよかったの?

首をひねっていると、店の玄関のガラスのドアをコツコツと叩く音がしたので、スマホ片手に出ていった。


「宝生さん?」


落とし気味にしてあった照明を明るくすると、たしかに彼の姿がある。

すぐに自動扉のスイッチを入れ、彼を招き入れた。


「まだいてくれてよかった。仕事が詰まっていて、ようやく一段落したんだ。一分でもいいから顔を見たくて」


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