愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「え、それって黒じゃないですか!?」

「うーーん。やっぱそう思う?」

 ランチを済ませ、紗和ちゃんとカフェでティータイムをしていた時。耐えきれず、あの日の話を相談していた。

 そして今ちょうど、"香水の匂いがした"というところまで話し終えた。

「それ言いました!?香水の匂いがするよって。」

 興奮気味の紗和ちゃんは、コーヒーカップをガシャンと置き、そう言った。

「ううん。だって、その飲み会に女の人がいたかもしれないし。」

 私以上にイライラしている彼女の前で、コーヒーを静かに一口飲んだ。


 すると、目を大きく見開く紗和ちゃん。

「本気で言ってます!?蕪木さん、聞き分け良すぎますよ。彼女持ちの男が、女のいる飲み会でお泊まりするのもアウトですし、婚約してるなら尚更です!しかも、シャツに匂いがつくってことは、それくらい近くにいたって証拠ですよ!?」

 どこで息継ぎをしたのか分からないほど、とにかくすごい勢いでそう言った。


 私は紗和ちゃんに言われて、初めてハッとした。そういう可能性もあるのかと、そう思った。


「いいですか?一度やる人は、二度やります。その様子だと、今までやられてても気付いてなかったと思いますけど。今度怪しいと思った時は、絶対絶対突き詰めるべきです!もはや私としては、本当に大勢の飲み会だったのかも疑わしいですが。」

「はい......。」

「結婚して、間違いだったじゃ遅いですからね!」

< 28 / 219 >

この作品をシェア

pagetop