死んでもあなたに愛されたい



廊下を曲がる寸前、手前のふすまが引かれて。


なんということでしょう。

最悪なタイミングで、赤羽くんと鉢合わせてしまったじゃないですか。



あらびっくり。こんな偶然、いらねぇわくそ。




「な、なん……なんで、こいつが!? それに、そのスーツ……!」


「それはこっちのセリフです。やはりさっきのバイクは……」




魁運が混乱してるのがわかる。

そうだよね。こいつがいると思わないよね。


でも、今は、ワケなんかどうだっていい。




「警告です。ひとみ様をお放しください」




あれは、獲物を狩る目。

どんどんドス黒く、尖っていく。



そうやって、また、大事な大事な赤い糸をえんがちょってするんでしょ。


あたしのためにと言い張って。



二度もうまくいくと思うなよ!

あたしたちは切っても切れない運命なんだよ!




「よくわかんねぇが……てめえに従う義理はねぇ」


「逃げよう魁運!」




方向転換しようと、魁運のかかとがきゅっと鳴る。


その拍子に、ズボンのうしろポッケに入れていた小瓶が、するりと滑った。




「あ、やべっ……!!」




小瓶を拾い上げる隙に、あの黒い目が迫り来る。




「放さないなら、力づくで放すまでのこと」


「魁運、うしろ!!」


「くっ、」




さっすが魁運! 間一髪のところで赤羽くんの腕を止めた!

しかもうしろを向かずに!


かっこいいからもっとぎゅーってしちゃう! ありがとうのぎゅーもしちゃお! あ、首しめるとこだった。てへ。


< 199 / 329 >

この作品をシェア

pagetop