死んでもあなたに愛されたい



「暗くてわからなかったけど、ひとみんの目、すごいわねぇ」




あ、やば!
マユちゃん先輩のインパクトが強すぎて、がっつり目を合わせてた!




「すごぉい、色が変わっていくわぁ」


「こ、これは……」


「どうなってるの? カラコン?」


「い、いえ……」


「天然物なの? すごいわねぇ」


「変、ですよね……」




何度も繰り返された『すごい』が、単なるほめ言葉ではないことは、なんとなくわかる。


マユちゃん先輩の場合、好奇心が6割、純粋な褒めが2割、その他が2割あたり。

あからさまに怖がられなかっただけ、まだマシ。




「まあ、うん、変ね」


「うっ」




グサリときた。

その正直さも、天然物ですか。




「変だけど」


「に、2回も……」


「いまどき、そういうのは個性っていうのよ」




わたしみたいにね、と、ぱっちりウインク。

不覚にもかわいいと思っちゃった。




「見て、わたしの目。わたしのはカラコンなんだけど、かわいーでしょ」


「ピンクっぽいですね。かわいいです」


「ねー? 最近は目にも個性を出せるのよ。すごい時代よねぇ」




さっきと同じテンション、同じ声のトーンで、また『すごい』の形容詞。

マイナスな気持ちが多少なりとも含まれていても、前向きに感じさせてくれる。



魁運の友だちなだけあって、いい人だなあ。


やさしい人の周りには、その人に似たやさしさが集まってくる。


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