死んでもあなたに愛されたい


イチャイチャ……うーむ、イチャイチャか……。

やっぱり、ここは、伝家の宝刀!




「魁運、あ~~ん」


「!?」




ふたりきり。ごはん。手作り。

条件はそろった。


ここでやらなくちゃいつやるの!


甘く味付けしたたまご焼きを、魁運の口元へ運んだ。



えへへ。一回やってみたかったんだよね。

さあ! どうぞ! 愛情まるごと召し上がれ!




「……え、ま、まじで……?」


「あ~~~~~~ん」


「…………あ、あむっ」


「! ど、どお!? おいし!?」


「……あ、ああ……う、うまい、よ」




魁運の耳、ピアスの色より真っ赤っか。


大きめのやつを食べさせたから、リスみたいに口の中いっぱいにして、もぐもぐ。

その口を大きな手で覆い隠して、気恥ずかしそうにうつむいてる。



……お、おそるべし、伝家の宝刀!



一緒に食事しているだけでも心拍数ははね上がっているにもかかわらず、「食べさせる」という甘ったるい世話焼きシステムが導入させることによって、新たな扉が開かれようとしている……!!



これがうわさの……母性本能!


保護したい……!

このかわいすぎる生き物を、今すぐあたしの腕の中に抱き留めたい!




「ひとみは食べねぇのか?」


「……今ちょっと、胸がいっぱいで」


「??」




強引にでも「あ~~ん」してみてよかった。


またやろう。ぜひやろう。

今すぐやろう! はいネクスト!


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