死んでもあなたに愛されたい



「つぅちゃんの好みを魁運が知ってるわけないでしょ!」


「え! これ、カイウンさんが作ったんですか!?」


「はい、ストップ! すとーっぷ!!」




魁運と会話しようとするところに、すぐさま割って入る。


抜け目がないな!

ライバルと仲良くさせてたまるか!




「わ、本当においしい。本家の料理人となんらそん色ないですよ」


「純也、こっちもおいしいよ」


「ん! 絶妙な塩加減!」




メラメラにライバル心を燃やしているあたしをよそに、つぅちゃんと赤羽くんはのほほんと夕食を楽しんでいる。


うぅ……。毒気が抜かれる……。

が、いちいちつぅちゃんが魁運をほめていて、また燃えた。


ほめるのは、あたしの役目!!




「ひとみ様は、どれを作ったんですか?」




急に赤羽くんがこちらを向いてびっくりした。

にらんでたの、バレたかな……?




「え、えっと、あたしは……」


「ひとみ」


「? 魁運?」


「それ取って」




それ? それとは?

……あ、このお醤油か!?


両手で渡したら、サンキュ、とほほえまれた。



今の、熟年夫婦みたいじゃなかった!?

何、と言わなくても理解して尽くす、的な!


最後の笑みもかっこよすぎたぁぁ……!




「ずいぶんと仲がよろしいようで」


「……まあな」




赤羽くん、その「仲」はどういう意味!?


そして魁運!
うなずいたってことは、そういうこと!?

魁運公認の仲良しこよし? お赤飯炊いちゃう!?


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