だから、言えない
やっぱりこいつ、
誘ってる。
だけど、いつもの竹本じゃ
想像もできない人格。
「ねぇ、佐山さん、
わたしじゃそそらないの?」
竹本がソファーから立ち上がって、
後ろから俺に抱きついた。
「…や、やめろ」
「えー?」
俺は竹本を振り払って、
洗面所へ逃げた。
これはまずい。
多分だけど、竹本は酔うと、
こっち系になるタイプ…。
まだ、泣いたり、怒ったりする方が
ましだぞ。
俺は冷水で火照った顔を洗った。
ふぅ。落ち着け、俺。
冷静に、冷静に。
乗るんじゃねぇ。