だから、言えない


「ことちゃん、
早くモップ洗ってくれる?
俺、片付けてくるから」

村薗先輩にそう言われて、
私は慌ててバケツの中で
モップの水を切った。

「先輩、すみません」
「いいよ」

はぁ…村薗先輩、
やっぱり目を合わせてくれない。

さっきの会話は何だったんだろう。

先輩はそんなつもりないって
言ってたけど、
絶対いつもと違う。

何だか、もやもやしたまま、
年内の仕事は終わって、
休みに入った。




< 193 / 286 >

この作品をシェア

pagetop