だから、言えない


下駄からスリッパに履き替えるとき、
振り替えってあの三人を見てみた。

皆真剣な顔で何かを話してるけど、
一体何なんだろう…

私だけが知らない
何かがあるんだろうか。

それに…
村薗先輩は
なんで私なんかにキスしたんだろう…



*

「あーぁ、お腹すいちゃった。
ご飯楽しみですねぇ」

塚尾さんはそう言って、
部屋の鍵をかけた。

夕食は社長が泊まる部屋で食べるため、
私たちは一つ下の階に
おりなければならないのだ。

「ねぇ…さっきのどうなったの?
何話したの?」

私がそう聞くと塚尾さんがくすっと笑った。

「竹本さんには何も言いませんよ」
「えー、なんで?」
「竹本さん、もう信用できないですもん。
村薗さんに言っちゃったんですよね?
ホテルの写真のこと」

あ、確かに、
勢いで言っちゃったな…

「お陰であたし、
村薗さんに怒られちゃいましたよ。
勝手に見せるなって」

塚尾さんはふんっと鼻をならした。



< 237 / 286 >

この作品をシェア

pagetop