だから、言えない
第二章 始動





あたしが村薗さんと初めて会ったのは、
お姉ちゃんの大学の文化祭だった。

その時あたしはまだ高校生で、
大学の文化祭は大人なイメージだったから、
履いたこともない
ピンヒールのパンプスを事前に買って、
キラキラしたお兄さんや
お姉さんたちに混じって
ぐらぐらしながら歩いていた。

たまたまお姉ちゃんとはぐれて
一人になったとき、
人通りの多い、
ちょっとした段差で、
いよいよ派手にこけてしまった。

左足のパンプスは脱げ、
自分の右側に手をついてこけた。

恥ずかしくて、顔も上げられなかった。
そばを通りすがってく人の足だけが
あたしの視界に入ってくる。

時折聞こえるクスクス、という笑い声。
高校生が背伸びして、
高いピンヒールのパンプスを履いて
派手に転んでる。
イタいガキだな、
とバカにしてるように聞こえた。


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