だから、言えない
「もしかして、
乗ってた自転車がパンクしたとか」
背後から飯田さんの声が聞こえた。
パンクねぇ…
その時、電話が鳴った。
今この事務所にいる三人全員が、
なぜか一瞬固まった。
いつも電話をとるのは塚尾だが、
いつもよりワンテンポ遅れて
電話に手を伸ばした。
そして、静かな部屋に、
電話から漏れているの相手の声が響いた。
専務だ。
朝河専務は、
うちの社長の親戚のおっちゃんらしく、
専務というのは名ばかりで、
普段はこの町をうろうろ徘徊している
ただのおじいちゃんだ。