だから、言えない


「あの場所で、よく話したよね…。
ことちゃんはいつも
せんべいを食べてたっけ」

昔の話だけど、
この話をどこまで踏み込んでしていいのか
よくわからなかったから、
私は黙っていた。


「ことちゃん、変わらないね」
「えー…?
それは…ちょっとショックです」
「どうして?」
「あの時よりは、
もっと大人の女性になったって、
思われたいですもん…」

だって、気にしてるんだよね。

背も低いし、色気なんか全然ないし、
スタイルもよくないし、
時々大学生に間違えられるし。

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