オレンジソーダ
何事も上手くいかない。
なんで、あの人だけ。
人を妬んでしまう。
そんな自分が嫌いだ。

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レモネードと少し繋がっています。

レモネードを読んでも読まなくても楽しめます。

レモネードでは恋愛を主に描いていましたが、オレンジソーダは友情・恋愛・家族関係など、人間関係全般を描いています。

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母「凛香、成績は学年トップを保つのよ。」
父「学年で成績が10位以内の子しか、友達になったらダメだよ。」
母「将来東大医学部に入って私たちの病院を引き継いでね。」
父「成人したら名門高校に通っている男の人と結婚させるから勝手に彼氏を作ったらダメだよ。」
凛「はい。」

昔から言われてきた言葉。

本当は私だってしたいことがあるのにね。

でも逆らったら怒られる。

それが嫌で、私は物心着いた時から完璧主義だった。

私は小田凛香(おだ りんか)、高校一年生。

緑ヶ丘学園に通っていて、父は病院の院長、母は病院の理事長。

両親共に昔からしつけが厳しかった。

そのせいもあって私は完璧主義者だった。

習い事はピアノ、塾、英会話塾、プール、バレー、テニス。

中学受験のため、プール、バレー、テニスはやめた。

でもあとほか3つは続けた。

ホントは医者になんかなりたくない。

東京音楽大学に入って、ピアニストになりたい。

友達もできた。

でも、成績はそんなに良くない。

いつも一番下に近い子。

成績も良い。

だけど、学年トップはいつも向 日葵(むかい ひなた)に奪われた。

好きな人もできてしまった。

乾 湊(いぬい みなと)。

でも、乾さんは向さんと付き合った。

向さんを妬んだ。

ほんとに嫌い。

この世から居なくなればいいのに。

この世にいなかったら、全部私が1番だったのに___。

悔しいが、向さんは美しい。

授業中、先生の話を聞かずに外を見て、切ない顔をしているのを何度か見た事がある。

その顔はとても美しい。見惚れてしまう。

だから、向さんが嫌い。



「まーた向さんが1位かー。」

これが私の唯一の友達、西谷こまち(にしたに こまち)。

乾さんは2位、私は4位。

なんで、なんで。

唇を噛む。

こ「えー私最下位?よく緑ヶ丘学園に合格したなー私。」

許せない。

乾さんと模試の結果を見ている向さん。

なんで向さんだけ。



凛「ただいま。」
「おかえりなさい。」

お父さんとお母さんは病院で働いているから、家にいるのはおばあちゃんとおじいちゃん。

自分の部屋に入る。

そしてへなへなとしゃがみこむ。

今日もまた怒られなきゃダメなのか。



スマホだって欲しい。

でも買ってくれない。

学年トップになりたい。

でもなれない。

乾さんと喋りたい。

でも喋れない。

唇を噛む。

カバンを所定の位置に直して、手を洗う。

するとリビングから声がした。

ば「凛香、模試の結果はどうだったの。」
凛「ごめんなさい。トップになれませんでした。」
ば「また?も緑ヶ丘学園に入ってから1回トップになれてないんじゃないの?」
凛「はい、ごめんなさい。」
じ「勉強が足りないんだなあ。」

新聞をダイニングで読んでたおじいちゃんが言う。

じ「家庭教師でもつけるか。」
ば「そうね、由紀子にも相談してみましょう。」

由紀子というのは、わたしのお母さんの名前。

凛「そろそろピアノの時間なので、よういしてきます。」

そう伝えて部屋に戻る。

私服に着替えながら、唇を噛む。

服だってロリータ系の服しか着たことがない。

ピアノの用意をして、ピアノ教室に向かう。

ピアノ教室に向かっている時の私はルンルンだ。

ピアノ教室は、唯一私が心を広げられるところ。

ピアノ教室の先生は乾 薫子(いぬい かおるこ)といって、とても優しい。

私が人間関係に疲れていることも知っていて、いつも慰めてくれる。

でも変に私のお母さんとかに報告しないから、色んな話が出来る。

薫「いらっしゃい、凛ちゃん。」
凛「こんばんは。今日もよろしくお願いします。」
薫「うん、練習終わったら今日も一緒にお茶を飲みましょう。」
凛「はい。」



薫「よし、じゃあ今日は終わり。今日はあんまり調子が良くなかったけど、何かあったの?」
凛「模試の成績が悪くて。」
薫「そうなのね。じゃあお茶いれてくるからいつもの席に座っといて。」
凛「はい。」

いつもの席というのは、先生の家のダイニングの椅子のこと。

鍵は開けてくれているので、家に入って、椅子に座る。

子供がいるらしく、男物の靴を見ることがある。

薫「お待たせ〜今日は普通のコーヒーにしてみたの。」
凛「あ、ありがとうございます!」

コーヒーを飲む。

おいしい。

先生とふたりで、こうやって喋っているのは親に秘密だ。

ほんとは晩御飯の3時間前からは何も食べるなと言われているが、ピアノの日だけ特別。

誰かが帰ってくる音がした。

誰だろう。

先生と話している間に人が帰ってくるなんて初めてだ。

?「母さんこの人誰。」
母「ピアノ教室の生徒よ。あ、もしかしたら湊知ってるんじゃないの?この子と同い年だし、同じ学校よ?」
湊「知らない。あ、でも見た事あるかも。」

乾さん?!

顔が熱くなる。

乾さんの視界に入っていたんだと思うとさらに熱くなる。

心臓が音を立てる。

凛「こっ、こんにちわっ!小田凛香ですっ!」
湊「あ、どうも乾湊です。」
薫「湊も一緒にコーヒー飲む?」
湊「飲まなーい。」

そういいながら乾さんは他の部屋に入っていった。

まさか、先生の子供が乾さんだなんて!

薫「あれ、どうしたの。顔が赤いわよ。」
凛「え、き、気のせいじゃないですかね?」
薫「はっ!もしかして、凛ちゃん、湊のこと、好きなの?」
凛「いっいえ!乾さんには彼女がいるので!」
薫「あら、湊に彼女がいるの?」

やばい、乾さんに嫌われるかも。

もしも私が帰ったあとに乾さんお母さんに怒られたらどうしよう。

乾さんに嫌われちゃう!

凛「でっ、でも!すごくいい子なんですよ!その彼女!」
薫「きゃ〜!!湊についに彼女が出来たのね!どんな人なのかしら!」
凛「え?」
薫「今度会いたいわ!湊ー!!」

リビングに乾さんが入ってくる。

湊「何?」
薫「あなた、彼女が出来たんだって!」
湊「なっ!な、なんで!」
薫「ねえ、どんな子なの!今度会わせてね!」

乾さんは顔を赤くする。

湊「あーうんわかったからこの話終わり。」

そう言って乾さんは去っていった。

薫「あーもうほんとにそっけないわねー。」

プルルルルルルルル。

これは先生への電話。

時計を見るともう、18時だ。

18時になると、お母さんが先生に電話をかける。

迎えに行きますっていう連絡。

帰る用意をして先生にお礼を伝えて、家を出る。

母「おかえりなさい。模試の結果が悪かったらしいわね。何位だったの?」
凛「よ、4位です…」
母「はあなんでうちの子は1位になれないのかしらねえ。家庭教師の件も考えてみたのよ。でも危険性っていうのがあるじゃない?だからやめたのよ。はい早く車に乗りなさい。」

はあ。もう嫌だ。

車の中に入ると、お母さんの説教タイムが始まる。

もう、なんで。
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